現地で調達できて、安価な餌を探す
一般的に、現地で食肉用の鶏を飼育する場合、Sedima社の餌を購入することが多いようですが、それだと費用がかさむので、より安価な原料を探したい、と思いました。
セネガルで調達できる材料としては、以下が挙げられるそうです。
栄養素 | セネガルで調達可能なもの |
エネルギー | |
タンパク質 |
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カルシウム |
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ビタミン・ミネラル |
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参考:GUIDE D'ELEVAGE DES VOLAILLES AU SENEGAL
https://dphu.org/uploads/attachements/books/books_886_0.pdf
これを読んで、以下を感じました。
- これら原料の価格の確認が必要。いくら「現地で調達可能」でも、結局市販の飼料より高くついては意味がないので。
- ものによっては加工費もかかるので要注意(例えばトウモロコシを粒の状態で買った場合、挽く費用がかかる)
- ささげ(セネガル名はニエベという豆)については比較的安価で入手しやすいイメージなので、ポテンシャルを探ってみる価値あり!
Amath君の力を借りながら、どんな代替飼料が可能なのか、探っていきたいと思います!
鶏にはどんな栄養が必要?
鶏には、ザックリと以下の栄養素が必要とのこと。細かい配合等は、与えるの品種(食肉用か鶏卵用か)、成長期(ひよこか成鶏か)等によっても変化するとのこと。
①エネルギー源:トウモロコシ等
②たんぱく質(アミノ酸):魚粉等
③カルシウム:貝殻等
④ビタミン・ミネラル(リン、ナトリウム等)
<参考:鶏のエサには何の原料が使われているの?|教えて!たまご先生>
セネガルの養鶏について書かれた以下論文でも、飼料に配合すべき栄養は上記と合致していました。こちらの論文、古そうで(正確な執筆時期不明)、かつフランス語ですが、網羅的にまとめられていて、非常に参考になります。
GUIDE D'ELEVAGE DES VOLAILLES AU SENEGAL
https://dphu.org/uploads/attachements/books/books_886_0.pdf
これらの栄養、セネガルで調達できる安価なもので、鶏達に提供できないだろうか…そう考え始めたのでした。
養鶏の収益性…思っているより低い!?
養鶏の収益性を計算してみた
養鶏を拡大するために私から資金的支援を受けたいセネガル人の知人Amath君と私との間で、養鶏の事業計画についてのやり取りが始まりました。まずAmath君から養鶏にかかる費用の情報を聞いて、それに基づき私がエクセルで計算をしていきました。
あくまでザックリとした概算ですが、セネガルで個人が一般的な食肉用養鶏をする場合、以下のような損益計算結果になりました。こちら、分かりやすくするため、初期費用(鶏舎の建設費、給餌・給水器の購入費)は除いています。この状態だと、例えAmath君に最初に資本金100万円あったとしても、事業規模はどんどん縮小していくということが分かりました!!
このシミュレーション結果をどれだけAmath君に伝えても、彼にはピンと来ていませんでした。彼は長期的事業計画には関心が低く、「とりあえず養鶏1回やったら元手3万円で収益2万円出るんだからおいしいじゃん!」という感覚なのだと思います。だからセネガル人は一般的に「養鶏は短期的に儲かる」と思ってるのかもしれません。でも、自分としては「この事業モデルじゃダメじゃん…」と思いました。
なお、その時は私はエクセルでしかシミュレーションを伝えていなかったので、上記の結果が彼にはうまく伝わっていなかったと思われます。やはり相手に伝わりやすいよう、工夫しないとダメですね(反省)。
なぜそんなに収益性が低いのか?
この収益性の低さは、飼料の購入費用に起因すると思われました。というのも、セネガルではSEDIMA社という会社が養鶏用の飼料を販売していて、ほぼ独占状態です。この飼料は1袋約3000円(15,000CFA)で、100羽飼育するためには6袋購入する必要があるそうです。つまり、1羽あたり180円掛かります。
そこで、もし飼料の費用は下げられたらどうなるのだろう…??そう思い、以下のようなシミュレーションをしてみました。他は上の図と同じ条件で、飼料の費用が180円/羽だったところ、90円/羽にしてみました。
この場合、事業規模はどんどん拡大していく!これだったら、例えAmath君の手元に資本金が10万円しかなかったとしても、うまくいけば事業はどんどん拡大していきます!
そこで、セネガルで養鶏で長期的に収益を上げられるビジネスモデルを見付けたい!そしてそれを通じてビジネスや金融のリテラシーを上げてきたい!と思うようになったのでした。
14年前にやった養鶏に関する活動
約14年前、西アフリカのセネガルという国に、私は約14年前に青年海外協力隊として赴任していました。私は「村落開発普及員」という職種として、国際協力機構(JICA)の「総合村落林業開発計画(PRODEFI)」というプロジェクトとの「連携隊員」ということで活動していました。
青年海外協力隊はボランティアなので、ザックリとした任務はあるものの、かなりの裁量権があります。私は当時森林に興味があったので、村人に対して植林関係の指導をしたり、一緒に植林などしていました。ただ、村人から要請があったのは、「養鶏に関する支援」です。
私が活動していた地域は村落部で多くの村人が落花生を育てて生計を立てていたのですが、それだけだと収入源として足りないので、手っ取り早く収入を上げられる方法として養鶏をしたかったのだと思います。
私は養鶏に関する知識はまったくなかったのですが、村人からの要請を受けて、養鶏に関して2つの活動をしました。
①養鶏に関する研修
現地NGOを講師に招いて、養鶏に関する研修を開催しました。確か現地NGOの方は無料で講師をしてくれて、週末の使っていない小学校の教室で研修を開催しました。研修は現地語(ウォロフ語)でやったと思いますし、自分自身は全然内容を覚えていません。村人に役立ったのかも…謎です。
②女性グループとの養鶏
記憶がおぼろげなのですが、私から少しお金を出して、女性グループと一緒になって養鶏をしました。でもおそらく少額しか出資しなかったので、10羽とか本当に少しの鶏しか飼育せず、その中でも何羽か亡くなったりして、大した利益は上げられなかった記憶です。
こんな感じで大した活動もしてなければ成果も上げていないですが、今となって振り返ってみれば、村人達と一緒にひよこの買い付けから、予防接種から、飼料購入から、養鶏の一通りを体験できたのは貴重だったかもしれません。
今はコロナ禍ということもあって、東京在住の自分はすぐにはセネガルに行って養鶏をできないので、この14年前の自分の体験が自分にとっての一つの拠り所です。
セネガルの村人の養鶏を支援し始めたきっかけ
私は途上国支援がしたく、これまで青年海外協力隊、国際機関、コンサルタント、援助機関などで勤めましたが、公的な援助(政府開発援助:ODA)の効率性に限界を感じ、自分でビジネスを立ち上げて何か途上国のために役立ちたいなぁ…と思い始めました。そしてその内、「西アフリカのセネガルのために何か役に立ちたい!」と思うようになりました。
というのも、自分は約14年前に青年海外協力隊としてセネガルで2年間過ごしたのですが、その時は大した成果を上げられなかったので恩返ししたい気持ちがあり、かつ何か具体的なビジネスをやるのであれば、地の利があって言語ができるセネガルが適当だろう、と考えたのです。ビジネスについて具体的なアイディアは無かったものの、「人々が経済的に自由になれるよう、知識を届けるようなことがしたい…」とぼんやり思っていました。
そこで何かビジネスのヒントが得られないかと考え、とりあえず当時の知人で唯一すぐ連絡が取れるセネガルの村人(元JICAのプロジェクト現地スタッフのAmath君)に「元気?」と連絡を取りました。近況を聞くと、最近は養鶏をやっていて、もっと資金さえあれば養鶏を拡大したい、とのこと。
私が外国人ということでお金をもらえることを期待しての返答だったとは思いますが、彼とやり取りする中で、「養鶏か…面白いかもしれない!」と思い始めました。というのも、自分が14年前にセネガルに住んでいた時にも村人から養鶏をやりたいという声がありました。おそらく彼らがメインで営んでいる農業は収益性が低く、かつ種付けから収穫まで時間が掛かるので、短期間で収益を生む養鶏というのは副業として魅力的なのだと思います。
そんなこんなで、このセネガルの知人(Amath君)と長い長いやり取りを経て、彼の養鶏を支援することになったのでした。このブログではその活動などについて紹介したいと思います!